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おすすめスポット・風景-上高地のすばらしい点 ベスト3(春・夏編)

      2015/06/25

その1 地形がすばらしい

 上高地とは穂高連峰の東側から南へと流れ下る梓川沿いの平坦地のこと。
 こういった山岳地域では通常、深い渓谷を形成するが、この地域(上高地)では大正池から横尾までの約10km、最大幅約1kmにわたって槍・穂高連峰からの土砂が堆積し広大な平野となっている。これは焼岳周辺の噴火・火山活動により梓川の流れがせき止められているためだ。
 大正池は大正4年の焼岳の噴火で生まれた。穂高連峰の姿を見事に水面に映し出したその偶然が奇跡的だ。
 標高1500mでこれほどの広さの堆積平野は国内で他に例がない。 3-8-上高地-20100612_112359 上高地全体の山岳景観は、「特別名勝」(特に景色が優れている地)と「特別天然記念物」(特に自然的価値が高いもの)に指定されている。
 温もりがあり、緩やか・ひろびろという上高地の地形と、白い雪を戴く急峻・鋭鋒の穂高連峰との対比が見事というほかない。
 広いU字谷を形成したヨーロッパアルプスに似た景観といっていいだろう。
 帝国ホテルをはじめとしたホテルやロッジが洋風を基調としている点は、西洋を意識し始めた明治・大正に避暑地として開発されたことが要因だが、結果的に雰囲気とうまく調和した。

その2 清流がすばらしい

 やはり、川の流れも特別だと思う。まるで中流域から下流域のような様相だ。こういった山岳地帯の流域では、大正池の下流あたりの渓谷、または、横尾より上流の沢が一般的な姿だ。岩がごろごろとして、その合間を激流が水しぶきをあげながら下っている。しかし、上高地付近の梓川の流れは全く別物だ。 広々とした河床を小石が埋め尽くし、浅瀬を清流がゆったりと流れていく。なんとものどかな眺めである。水の透明感や石の角張がやはり下流とは異なっている。
 この流れとアルプスの山々の組み合わせがカメラマンたちを喜ばせている。今まで多くの写真家たちがこの梓川と険しい山々の構図を試してきた。 3-8-上高地-20100612_120557 小梨平のキャンプ場ではこの梓川の音を聞きながらテントの中で眠りにつく。
 翌朝、テント場から顔を出すと、朝日を浴びる穂高の山が目の前にそびえている。そして、足元にはまだ日の当たらない青々とした清流がゆっくりと動く。

その3 誰でも自然を満喫できる

 上高地では、野生生物との距離が意外と近い。
 見上げるとカラマツの木々をニホンリスが軽快に渡り歩いている。食べ物はマツ類の種子だ。
 ニホンザルは人の前後を気にも留めず集団で歩いている。近くの木の上で子どもを抱いていることもある。食物は木の芽、草、果実など。
 イタチの仲間のホンドオコジョや国の天然記念物であるニホンカモシカもいるそうだ。
 寒冷な清流を好む岩魚(イワナ)が梓川や池でゆったりと泳いでいる。この他にもカワマス、ブラウントラウト等も生息しているらしい。
 大正池ではマガモが水辺で休憩している。 近くでカメラを向けても全く動じない。
 森の中から、ウグイスの「ホーホケキョ、ケキョケキョケキョ」、カケスの「ギャアギャア」、シジュウカラの「ピーツ、ピーツ、ピーツ」と鳴く声が聞こえる。 その他、キセキレイ、コゲラなど、深い森には多くの野鳥が生息している。 3-8-上高地-20111023_072104 多くの国立公園との違いは、梓川沿いのコースが平坦で歩きやすいということだ。
 軽登山靴で、子どもから高齢者の人まで気軽に歩くことができる。河童橋のたもとからすぐに静かな林の中へ入っていき、ハイキングがスタートする。コースの脇ではエゾムラサキやニリンソウ、ゴゼンタチバナ、イワカガミなどが清楚な花をひっそりと咲かせている。
 そんな身近な場所でありながら、梓川の流れや森の雰囲気、木々の間から垣間見る鋭い岩峰は全く野性的である点がまことにすばらしい。

 - おすすめスポット・風景

Comment

  1. U より:

    あああ、いつか赤石岳小渋コースの話をしていた時、「広河原小屋の水場(福川)から見える景色が素晴らしい。強いて言えば、梓川の向こうに穂高を見ている感じ」という意味のことをおっしゃいましたね。残念ながら、私が小屋に到着した時刻には雲がでていて稜線は見えず、翌朝早くに見に行ったけど、福川の川筋をぼんやり辿れる程度で感動的な光景は見られませんでした。山下さんがおいでになった時は、福川から眺める赤石の稜線は、きっとこの一番上の写真を思わせるような雰囲気があったのでしょうね。

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